今回の記事のテーマは『短髪の描き方』についてです。
突然ですが、短髪って描くの難しくないですか……。
ムカシのことなのですが、人に頼まれて短髪の男性のイラストを描くことになったのです。でもその頃の私は短髪って描いたことがなくて。何度描き直してみても、ちっとも格好良くならなかったのです。
でもお引き受けしたからには格好良く描かなければ。
半べそ状態で試行錯誤して、なぜ格好良く描けないのか? そして、どうしたら格好良く描けるのか? について探り出しました。
この記事では、その経験から得た『短髪を格好良く描くために意識しておくべきポイント』についてお話ししたいと思います。
では早速始めましょう!
格好良い短髪を描くには、格好良い頭の形のアタリを取ることが最重要
皆さんの周りやタレントさんで、坊主や短髪の素敵な方を思い浮かべてみてください。頭の形がキレイな方が多いのではないでしょうか。
イラストとして描く時にもやはり頭の形が重要になります。
先ほどムカシのことなどと申し上げましたが、実は短髪を描いていて全然格好良くならないという事は、今でもよくあります。
そういう時の自分の行動を振り返ってみると、大抵頭の形のアタリが曖昧なまま描き始めているな、と。
今でもヘマしている私が言うのもなんなのですが、とにかく『格好良い頭のアタリ』さえ取れれば、イラストはできたも同然です。
短髪のイケメンのイラストを1枚描くための情熱が100パッションあるとしたら、80パッションを『格好良い頭のアタリ』に使うぐらいの気持ちで描いてみてください。
格好良い頭の形とは
では、イケメンのイラスト的に格好良い頭の形とはどのようなものなのでしょうか。
人の頭は側面が平らな形をしています。頭の両側から、平らな板でぎゅっと押さえた感じです。単純に描くと下図右のような形状です。
真上から見ると少し角張った形をしており、前頭部から後頭部にかけて意外と奥行きがあります。おでこは平らに近いです。対して後頭部には丸みがあります。
男性を描く時はフェイスライン、特に顎からエラにかけてのラインをシャープに描くことが多いと思います。
頭の形も丸く滑らかにというより、面をきっちり取ってメリハリをつけ、シャープで角張った形を意識しながら描くと精悍で格好良くなります。
普段人の頭部の形状をまじまじと観察する機会はないと思いますが、今度映画などを観る時に注意して見てみてください。色々と発見があります。
面で頭部を描くための教材として、おすすめの本をご紹介します。
ボーンデジタル社 『フィギュアスカルプティング 粘土で作る全身像 : アナトミーと面からの構築』フィリップ・ファラウト様 チャリシー・ファラウト様著
立体を作る人に向けて書かれた本なのですが、イラストを描く上でも勉強になる本です。頭部と首だけでなく胴体・腕と肩・手・脚・足、最後に全身像の製作工程が紹介されています。
単純な形から細部を作り上げていく過程が、たくさんの写真と共に丁寧に解説されていて、人体の構造が理解しやすくおすすめです!
早速描いてみましょう
ではここから実際にイラストの制作を進めながら、格好良く短髪を描くためのポイントについてお話しをさせて頂きたいと思います。
頭の形のアタリを取る
- 頭の側面は平ら
- 後頭部は丸く
- 平坦なおでこ
- シャープな顎
- 全体として角張った形を意識
これらのことを踏まえて、頭の形のアタリを取ります。
髪の毛の生え際のラインもしっかり描いておきましょう。特に、もみあげとこめかみの形状は重要です。おでこの形は四角形に近づけるとより男性的な顔立ちに、丸みを帯びると柔和で女性的な顔立ちになります。
頭をブロック分けする
今回のイラストでは横に流すようなヘアースタイルにしたいので、頭を縦に区切ります。
髪の毛を描き込む
ブロック分けしたガイドを頼りに、髪の毛の薄い板を重ねるようにアタリを取ります。下の髪の毛に上の髪の毛をかぶせるようなイメージです。
この時髪の毛の束は楕円錐状ではなく、ペラ紙のような形状を意識して描きます。
バランスを見ながら前髪を描きます。
前髪で雰囲気がガラッと変わるので、神経を使うところです。おでこが出ると爽やかでスッキリした雰囲気に、目にかかるとミステリアスやセクシーな雰囲気になります。
表現したいイメージに合うよう、微調整しましょう。
下絵を描く
アタリ線の不透明度を下げて薄くし、下絵を描きます。髪の毛に長短をつけながらランダムに形を取ると、毛束感が出ます。
ペン入れ
下絵を頼りにペン入れをします。
塗り
ペン入れがあらかた済んだら、グレーで下塗りします。
髪の毛のボリュームは線だけだと分かりづらいので、まずは一色でざっと塗ってみた方が形の調整がしやすいと思います。
影を入れます。ここで肌の影の形も整えました。
完成!
細かい箇所を見直し、修正したら完成です!
ブロック分けのバージョン
横分けのヘアースタイルではブロック分けの工程で縦に区切りましたが、分け目なしの場合は横に区切ります。
後頭部から前方向に向けて、髪の毛をかぶせていくようにアタリをとりましょう。
お疲れ様でした。今日は『短髪の描き方』についてお話しをさせていただきました。短髪を格好良く描くには、頭の形のアタリをしっかり取ることが大切だとお分かり頂けたかと思います。
とは言え人の頭部をバランスよく描くことって、本当に難しいのです(私も苦労しています)。でもそれだけに格好良く描けた時の喜びはひとしおかと思います。
一口に短髪と言ってもスタイルは色々あります。ヘアカタログなども参考にしながら、色々と試してみてくださいね!
それでは今日はこの辺で。お互い素敵な創作ライフを送りましょう♪
この記事をお読み頂き
ありがとうございました!